「海ごみゼロウィーク」で拾った海ごみが生まれ変わりました!

8月の記事で報告させていただいた「海ごみゼロウィーク活動」で回収・分別した海ごみが、なんと「ゴルフティー」に生まれ変わりました!
⇒「海ごみゼロウィーク」活動記事
本記事では、海ごみを洗浄・粉砕・コンパウンドして樹脂ペレットに戻し、ゴルフティーを成形するまでの過程を報告をさせていただきます!

粉砕工程からいきなり大苦戦

回収した海ごみは、リコーの「樹脂判別ハンディセンサー」を活用しながら樹脂別に分類しました。
そしてその中から、ある程度の数が集まった「PE」と「PET」をプラスチック製品として再生することにしました。

樹脂判別ハンディーセンサーで分別中


回収した「PE」と「PET」は塩やフジツボが付着しているものもあったので、何度も洗浄し、なるべく落とすようにしました。
フジツボや塩がついたままだと、粉砕機などが傷ついたり錆びてしまう恐れがあり・・・

洗浄した「PE」と「PET」の粉砕加工は、NAW(ナガセアプリケーションワークショップ)で実施しました。
いざ破砕機にかけると、破砕されずに機械の途中で引っかかってしまうものもあり、大苦戦・・・

人力カット中


引っかかったものはハサミやペンチを使って、人力で切断し、破砕機に再投入していきました。
ある程度の大きさまで破砕したら、液体窒素にくぐらせ、ミキサーでより細かく粉砕します。

バージン材を混ぜて樹脂ペレット化

NAWでの粉砕が完了したので、次にESDC(環境ソリューション開発センター)で樹脂ペレット化(コンパウンド)します!
そもそもESDCとは?という方もいらっしゃるかと思いますので少し説明させていただきます。

「ESDC」は、大阪市大正区にあるNAGASEグループの開発施設である「環境ソリューション開発センター」の略称です。
バイオプラスチック低環境負荷マスターバッチ環境配慮型包材などの研究・開発や、お客様と共同でのお客様のニーズに寄り添った技術・製品開発を取り組んでいます。
そんなESDCでコンパウンドを行なうのですが、海水の影響で劣化していたり、数量も多くないので、海ごみ100%でのペレット化が難しく、バージン材を混ぜてコンパウンドすることにしました。

バージンPE+海ごみPE20%のコンパウンド前と後


バージンPC+海ごみPET20%のコンパウンド前と後


ついにゴルフティーに!

ESDCでコンパウンドした樹脂ペレットを持ってお邪魔したのは、栃木県足利市にある「石塚工業株式会社(https://ishi-pla.co.jp/)」です!
ゴルフティーの成形現場に立会わせていただきました!
PEの方は、そのままの色だとティーショット後に見つけにくそうなので、白のマスターバッチを加え、明るい色にする工夫をしました。

ゴルフティー


PC/PETの方は衝撃性に強いPCが入っているので頑丈です。
PEの方はとても柔らかく折れないティーのようになっていました! かなりの柔軟性!
今回作成した「再生ゴルフティー」の詳細に関しましては、別途plaplatで記事掲載させていただきます。

今回の取り組みを通じて

自分たちが拾った海ごみが、形のある製品に生まれ変わっていく過程を見ることができ、とても感動的でした!

完成したゴルフティー


実際にリサイクル材の生産も行なったことで、リサイクル材の難しさや、原資の質の大切さに気がつきました。

海でのごみ拾いを通してプラスチックによる海洋汚染の問題を考え、回収した海ごみを再生する工程を体験し、それを情報発信していくという一連の取り組みは、プラスチックを取り扱う私たちにとって、とても有意義なことだと感じました。
今回は神奈川の海での開催でしたが、次回は関東以外の海で、さらには海外現地法人とも連携して取り組み、プラスチックの持続可能性と地球環境について、NAGASEグループ全体で考えていけたらと思います。

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plaplat編集部

化学品専門商社:長瀬産業グループのメンバーを中心に構成。
専門領域であるプラスチックを基軸に、サステナビリティを実現するためのソリューションと、業界を横断した情報を展開する。