「プラスチックプロトコル」の目的は?「Plastic footprint」って何?

各国が政府間交渉を進める「プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書」(ILBI/ international legally binding instrument)は、各国に目標の進捗と遵守状況の報告を義務付けています。
「プラスチックプロトコル」は、この義務を果たすために、企業が決まったルールで「Plastic footprint(プラスチックの環境への影響)」を測定、報告し、削減することを支援する、WBCSDによって提唱されたフレームワークなのです。

プラスチックプロトコルは、Plastic footprint に関する、会計・目標設定・行動計画に関する世界標準を作成することを目的としており、企業及び国全体の目標の進捗状況の監視が可能になります。
このプロトコルの中で定義されている Plastic footprint とは、生産から廃棄に至るまでのライフサイクル全体にわたるプラスチックの環境への影響を測る尺度で、企業または製品によって排出されるGHG量を測定する「カーボンフットプリント(CFP)」とは異なります。
プラスチックプロトコルは、プラスチックの漏出や循環性など、プラスチックが環境に及ぼす影響に焦点を当てており、GHG量については取り上げていません。

「プラスチックプロトコル」の概要

「プラスチックプロトコル」は、会計と評価/目標設定/行動計画の 3 つの構成要素に焦点を当てています。そして、60 を超える会計指標を 2 つの重要な指標 、Plastic footprint とプラスチック循環性に組み合わせて、企業のパフォーマンスを評価します。
また、そのためのガイダンス( Plastic footprint の削減、循環性を高めるための行動計画の枠組み、データ/循環性/漏出指標によるベースラインの設定、目標の設定、ロードマップの作成、報告と開示の方法 等)を企業に提供します。
企業はプロトコルに準拠するために、次の手順を実行する必要があります。

①会計と評価:プロトコルで提案されている標準化された指標を使用して、Plastic footprintとプラスチックの循環性を測定し、報告する必要があります。
②目標設定:Plastic footprintを削減し、循環性を高めるために科学的根拠に基づいた目標を設定する必要があります。
③行動計画:Plastic footprintを削減し、循環性を高めるための行動計画を策定する必要があります。

企業にはどのような影響が考えられる?

「プラスチックプロトコル」による影響を予測することは未だ困難ではありますが、 本プロトコルは、企業がプラスチックの環境負荷を削減し、循環性を高めるのに役立つと期待されており、プラスチックの、より持続可能で責任ある使用につながる可能性があります。
また、このプロトコルが、企業の改善と革新の領域を特定することにも役立ち、それが新しいビジネスの創出につながる可能性があります。

一方、企業がプラスチックの環境負荷を削減し、循環性を高めるためには、新しいテクノロジー/プロセス/インフラへの投資や変革が必要になると予想されます。
そういった投資や変革といった判断を行う事が出来ずに、Plastic footprint に関して対策を講じることが出来ないプラスチックに関わる企業は、持続可能性のパフォーマンスが低いと判断され、将来的にビジネスチャンスが狭まる可能性が考えれます。

今後の推移もよく見極めた上で、対応を検討

現時点においては「プラスチックプロトコル」は自主的な枠組みであり、企業は必ずしもこれに従う必要はないという点に注意することは重要です。
ただし、このプロトコルに準拠する企業は、持続可能性のパフォーマンスの向上、風評リスクの軽減、および新たなビジネスチャンスから恩恵を受ける可能性があります。
一方、持続可能性のパフォーマンスを向上できない企業はビジネスチャンスが狭まり、不利益を被る可能性があります。
足下の状況だけでなく. 今後の推移もよく見極めた上で、対応を検討していくことが必要です。

WBCSD.「Enabling corporate plastics disclosure: Building a plastics protocol」,出典_2023.12.01.
https://www.wbcsd.org/Pathways/Products-and-Materials/Resources/Enabling-corporate-plastics-disclosure-Building-a-plastics-protocol