公開日:2023/10/19

最終更新日:2024/01/17

水素の基礎知識
~製造方法と使われ方について~

カーボンニュートラルや脱炭素の目標が各社で掲げられる中、水素は石油などに代わるエネルギーとして注目を集めています。今回は、その水素の製造方法と使われ方について、簡単にご紹介します。

水素とは?どこにあるのか?

水素は地球上で最も軽い気体でH原子が2つ結びついた分子で、燃やしても水しか発生しないため、環境負荷が少ないと言われています。水素は地球上に水や有機物などに化合物の状態でたくさん存在しますが、直接エネルギーとして使用できる水素単体は、ほとんど存在していません。
それでは、カーボンニュートラルや脱炭素の鍵となる水素はどのように作り出すのでしょう。

水素の製造方法は?

水素は理科の授業で製造した方も少なくないのではないでしょうか。私は金属を塩酸に溶かすと発生させて、水上置換法で採取しました。集めた水素に火を近づけるとポンっと燃えた記憶があります。
しかし、水素社会をするには、金属を溶かし続けることが必要であるということにはなりません。水素は多くの方法で作り出すことが可能です。

1.水の電気分解によって製造する
2.天然ガスから製造する
3.バイオマスを熱分解する
4.他の製品の製造過程で発生する

1つ目は水の電気分解は水に電気を流すことによって、水が水素と酸素に分解されます。
水素の製造には大量の電力が必要になります。

2つ目は天然ガスと高温の水蒸気と反応させると水素と二酸化炭素や一酸化炭素が発生し、水素を分離することで水素を製造可能です。
家庭用の燃料電池にもこの技術を使用しています。

3つ目はバイオマスなどの有機物を高温で分解すると、水素が発生します。

4つ目は、これまで他の製品の製造時に副産物として発生するものがあり、主なものは製鉄所での鉄の還元反応や工業に広く用いられる化学品である苛性ソーダを製造する過程で発生しています。

これらの水素の製造方法において、化石燃料で作った電気の使用や、バイオマス由来以外の二酸化炭素が発生すると、カーボンニュートラルや脱炭素は達成できません。再生可能エネルギーの活用や製造時に発生する二酸化炭素の回収を進めていくことが必須の課題になっています。

水素だけでカーボンニュートラルや脱炭素の社会に向けた課題がすべて解決することはできませんが、水素を取り巻く環境がこれから変わっていくことで、地球にやさしい社会が実現できると考えられています。

水素の使われ方

水素は多くの異なる方法で使用されています。以下に一般的な水素の使い方を紹介します。

① 水素燃料
水素は燃料として使用されることがあります。水素燃料とは、水素の酸化・燃焼によって発生するエネルギーを使う燃料のことです。水素を酸化・燃焼させると、電気や熱を取り出すことができ、その過程で発生するのは水だけ。 この電気は電気自動車や家庭用電力など、さまざまな用途に供給されます。

② 工業プロセス
水素はアンモニアやメタノールなど、いくつかの化学物質の製造に使用されています。また、ステンレス鋼をはじめとする金属熱処理で、金属表面をピカピカにする光輝焼鈍用の添加剤としてや、原油に水素を吹き込んで硫黄分を取り除く水素添加脱硫用としてなどの工業プロセスにおいても水素が使われています。

③ 宇宙航空産業
液体水素は気体の中で最も軽く噴射速度が早いため、ロケット燃料として使用され、宇宙航空産業として重要な役割を果たしています。液体水素は温度が低く密度が小さいため、高コストかつ冷却状態の維持が難しいことが難点ですが、脱炭素社会の実現に向けた様々な研究により、将来的にコスト低下が期待されています。

④ 医療用途
水素は抗酸化作用を持つため、一部の研究では健康や疾患の治療に活用されています。また抗ガン剤の副作用軽減に対する臨床試験がなされ、有効性が示されています。また、サッカー選手に水素を投与すると、運動による乳酸の産生が抑えられ、運動能力が向上したことも報告されています。現在では糖尿病、脂質異常症、肩凝り、頭痛、腰痛、気管支炎、咳喘息などに有効と考えられます。

⑤ エネルギー貯蔵
水素は電力の貯蔵媒体として使用されることがあります。余剰電力を使用して水を電気分解し、生成した水素を物質として蓄えておけばエネルギーが減ることはありません。その水素を利用し、燃料電池によって電力を再生成すれば、水素は長期・大量のエネルギー貯蔵方法として期待されています。

脱炭素社会に向けた次世代エネルギー機器の実証施設


ヤンマーグループでは、「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を掲げ、自社だけに限らず、お客さまの脱炭素化実現に向け、再生可能エネルギー(以下、再エネ)や水素などの環境に配慮したソリューションの開発を進めています。
今回、GHPやマイクロコージェネレーションシステムを製造するヤンマーエネルギーシステム製造株式会社敷地内の岡山試験センターに、水素発電システムや蓄電池などのクリーンエネルギー機器の耐久試験や技術開発およびそれらを組み合わせた最適運用の実証試験を行う本施設を設置しました。
今後、既存の商品に加え、開発を進めるクリーンエネルギー機器を最適に組み合わせ、カーボンニュートラルパッケージとしてお客さまのニーズに合ったソリューション提案を目指します。さらに自社工場でもクリーンエネルギー機器を活用し、工場全体のカーボンニュートラル化を目指していきます。
エネルギーに関するご質問やお問い合わせがございましたら、お気軽にヤンマーエネルギーシステムまでお問い合わせください。

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profile

石井 祐輔

<所属>ヤンマーエネルギーシステム株式会社
    カーボンニュートラル推進部

    https://www.yanmar.com/jp/energy/

<専門分野>脱炭素ソリューション

<紹介文>脱炭素実現のために省エネ・再エネのご提案をいたします。